夜ふかしチョコレート EXO-TEXT

EXOの二次創作小説(BL)です。CPはチャンベクが中心ですが、セフンとチェンのお話・メンバー萌え語りも。

このブログのご説明

 はじめまして。夜ふかしチョコレートと申します。
 こちらは、EXOのBL・二次創作小説ブログです。
 取り扱いカプは、チャニョル×ベッキョンが中心なのですが、他にセフンとチェンのお話もあります。
 
 性描写を含む作品にはタイトル横に【R18】と記載して、18歳以下の方の閲覧を禁じていますので、ご注意ください。
 記事を読むためにはパスワードが必要です。パスは、「1111」(半角数字で「1」を4回)です。

 このブログのお品書きといたしましては(クリックすると別窓がひらきます)

小説のもくじ(各作品にジャンプできます。【チャンベク】と【それ以外】を分けてあります。「あとがき」もこちら)
EXO萌え語り(メンバーへの萌え語りなど)
EXO二次創作のご紹介記事(「海の底、森の奥」様と、pixivで活動中の若葉さま)
夜ふかし日記 (作者の雑記)

EXOメンバーひとりひとり、みんなとても好きなのですが、とりわけベクとチェンがすき。
好きすぎて、もうどうしたらいいか、わからなーい!(笑)

ブログ名(と作者名)は、「夜ふかし」と「チョコレート」が好きだから。
BL書きとして、皆さまの夜ふかしのお伴ができたら、という思いと、チョコレートのように甘くてちょっとビターで、そしてやみつきになってしまうようなお話を書きたい、という願いをこめています。

どうかたくさんの方に楽しんでいただけますように。
ご感想やコメントなど、いつでもお待ちしております♪ お気軽にお声をかけてくださいね。

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大きな瞳が映すもの

【スホ・シウミン】短編『まばたき』のあとがき、です。

 この小さなお話は、なっつさまからいただいたリクエスト「①幸せなスホさん 」「②猫を飼うシウミンさん」「③レイさんのふともも(笑) 」のうち、どれか一つで、というお題に応えるために書いたものです。
 
「③レイさんのふともも(笑)」にも、たいへん惹かれるものを感じたのですが(笑)、①と②をひとつのお話にまとめられそうだったので、書いてみました。
 (うん? ……読み返してみると、いまひとつ、「スホさんの幸せ」が、かなっていないかも……?)

 まずお題をいただいたときに、「ミンソクさま、猫を飼ってらっしゃるんだろうか?」とネット検索の旅に出ました。
 すると、(おそらくは現在の住居ではなく、実家で)ペットを飼ってるメンバーがわりと多いことを知りました。
(ほほう。若干、意外でしたねえ)

 そして、ミンソクさまご本人は、猫を飼っていらっしゃるし、猫好きさんなんですよね。
 そういえば、CBXの3人で3月にご出演された「さしめし」で、猫を2匹実家で飼っていて、猫が好きなんです、って言ってらしたなー…と思い出しました。
(ジェスチャーゲームのお題も、彼は「猫」でしたねえ)

 頭がよくて聡明なのに、猫のことになると「猫バカ」になっちゃうミンソクさま、それに(しぶしぶ)つきあってあげるスホさん、という構図が、わりとすぐに頭のなかに浮かびまして、ぱーっと書きました。

 (この夏、「the War」のなかの、スホさんの歌声のせいで、私はかなり、リーダーに夢中でした。
 今この時期に! なぜリーダーに! ジョンデとベクだけでも、おなかいっぱいなのに〜〜!)

 多くのファンの方がそうだと思うのですが、私は、ミンソクさまの大きくてつぶらな瞳に「やられて」います。
 彼のことを想像すると、まず、あのまなざしが胸に浮かびます。
 あの無垢なかんじ、純粋なかんじをちゃんと保ったまま、芸能界でお仕事をしている、というのは、なかなか稀有な存在なんじゃないかと思っています。
 チャニョルくんとも違ったタイプの純真さで、ああ、やっぱり大好きです。

 ミンソクさまが飼っている猫の名前が、「タン」くんであるらしい、というのはネット探索の旅で見つけたのですが、もう一匹の猫の名前が見つかりませんでした。
 そのとき、「韓国人が猫につける名前としておかしくないもの」というのが、浮かばなくて浮かばなくて……「ペペ」というのを苦肉の策でつけたのですが。

(カイくんの小さい頃のあだ名が「にに」というのも、頭の中にちょっとありました。2つの音の繰り返しで、それっぽい名前にしよう、ただし「にに」ではなく、ぐらいの気持ちでつけてしまいました)。

 なんか韓国語で変な意味を持つ言葉だったらどうしよう、とドキドキしているのですが、もし、ミンソクさまの飼い猫の名前をご存知の方がいらっしゃいましたら、そっと耳打ちしてくださると(ふふ)嬉しいです。

 今回もなっつさまには「初夏」という設定をいただいていたのですが、それがかなっているのかどうか、ものすごく怪しい短編で、私には「季節指定」というお題は難しかったのでは、と思っています。すみません。

 私のなかでは「スホさんとミンソクさんはデキている(攻がスホ)」という設定があるのですが、なかなか賛同が得にくそうなカプです(苦笑)。
 でも、この年長組は、まだ「デキていない」ほうがいいと思って、今回の短編では、かなりBL度が低めで書いてみました。まだ、リーダーが自分の気持ちを自覚したぐらい、な感じで。

 タイトルは「まばたき」にしました。
 悩んだのか、というぐらいシンプルですが、「瞳」というのを入れたくて、四苦八苦したのですが、入らなかった。……
「えくぼ」のときも、あれほど悩んだのに、非常にシンプルに「えくぼ」にしたのですが……。

 今回の仮ファイル名は「ミンソクさんとジュンミョンさん」というものでした。

 前回の「タオ+ベク」のときもそうだったのですが、「猫バカ」ミンソクさまというのは、私ひとりの頭からは絶対に浮かばないお題だったので、リクエストをいただけて、とてもよかったなと思っています。ありがとうございました。

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【スホ・シウミン】短編・『まばたき』

【スホ・シウミン】短編・『まばたき』

 これは、1000拍手のときのリクエスト「①幸せなスホさん ②猫を飼っているシウミンさん ③レイさんのふともも(笑)」の3つから、1つを選んで、というお題にこたえて書いたお話です。
 「③レイさんのふともも」にも、すごく惹かれたのですが(うふふ)、①・②を同時におこたえしてみました♪
 リクエストくださった、なっつさま、ありがとうございました。
 どうか、たくさんの方に楽しんでいただけますように!(夜ふかしチョコレート)


 

「かわいい。かわいいなあ」
 独り言にしては大きすぎる声で、さっきから、何度も。

「かわいい。……ああ、なんでこんなに、かわいいんだろうなあ」
 ──たまたま2人しかいない控え室で、昼食のサンドイッチを、むぐむぐむぐ、と食べながら、キム・ミンソクがそうつぶやくからには。

 このひと、俺に、相槌を求めているんだろうなあ。

 そう判断したので、スホは、彼の「独り言」に、いま気づいたような顔を作って応えることにした。
「かわいいかわいいって。さっきからミンソク、いったい、なにが?」
 そう問うと。

「これ。これだよー、見て見て、ジュンミョン」
 心の底からの100パーセントの笑顔で、ほら、とミンソクは、それまで非常に熱心に見ていたスマートフォンの画面を差し出してきた。

「これ。こないだの休みに、実家に帰ったときに撮ったんだよ。最新画像」
「ふうん? どれどれ?」
 興味津々のふりも、我ながら、うまくなったと思う。
「ねえ、ほらー、かわいいでしょう?」

 スホの予想どおり、そこには(これまでの長いつきあいの中で、ミンソクから何度も見せられてきた)彼の愛する猫の写真がある。
 高校生のときから、10年ちかく飼っているというメスの雉猫。
 それが、ミンソクの実家のリビングのソファのはじっこで、目をつぶってどてっと眠っている。
 スホからしてみれば、何ひとつ面白くもかわいくもない、「ふーん、猫。それで?」というだけの写真である。

「ああ、ペペちゃんだね」
 名前だって知っている。
 普段はわりと言葉数の少ない、どちらかというと周囲の話をにこにこしながら聞いてくれることの多いミンソクだが、この猫について話しだすと、やたら饒舌になって話が長い。そしてくどい。
 彼の実家ではもう1匹、トラ猫(4歳半、オス)を飼っていて、そっちは「タン」というのだが、2匹とも彼の3歳下の妹が命名した──という、「キム・ミンソクの飼い猫豆知識」も持ちあわせるようになってしまった。

 キム・ミンソクは、スホが知るうちで、もっとも頭のいい人間のうちのひとりである。
 などと、思わず英語構文の直訳のような文章を思い浮かべてしまうのだが、ほんとうにそう思うのだからしかたがない。
 しかし、ぺぺちゃんとタンくんに関するかぎり、彼は「どうしたの?」というくらいのバカになる。
 親バカならぬ「猫バカ」、である。
 単に頭がいいだけでなく、人間関係の機微に敏く、深い洞察力を備えているミンソクなのだが、2匹の飼い猫のかわいさに目がくらんで、それらすべての美点が曇ってしまうらしい。

「かわいいなあ。……ねえ、かわいいよね?」
 かなり強制的に同意を求められるのも毎度のことだ。

 小柄なミンソクだが、その顔や手足もちんまりとちいさい。
 ひどく色の白い、肌理こまやかな肌をしていて、その小さく白く整った顔に、はっとするほど大きくつぶらな目がある。

「うーん……そうね。ていうか、ペペちゃん、ちょっと太った?」
「そう、そうなんだよー! わかる? ジュンミョンにもわかっちゃう? 俺も実家帰って、ペペの顔見てね、まっさきにそう思ったわけ」
 
 すこし茶色がかった明るい色の瞳。
 ミンソクが話すとき、食べるとき、何かに集中しているとき、そのふたつのまるい瞳は、周囲のひかりを集めて、実にいきいきとよく動く。

「ペペはもう、人間で言ったら、わりとおばあちゃんの年齢だからさ。食べ物の量、気をつけてあげてよって妹に言ったんだよね。そしたらさ」
 たとえば今この瞬間、ペペちゃんのあれやこれやについて、熱心に語ってみせるときのように。

 きらきらしたその瞳の動きに、胸の中を優しくくすぐられたような気がして、スホは、何千回、心の中でつぶやいたかわからない台詞を、またつぶやく。

 そんな猫なんかよりも、よっぽど。
 ──よっぽど、あなたのほうが。

「まず、エサの量は、妹だって気をつけているんだって。でも、もうおばあちゃんの猫だから運動量が減ってきていて、それなのに、今までと同じ量のエサを欲しがるから。……少なめのエサをあげると『おなかすいてるんですけど』って、おねだりしにきちゃうから、もう妹も板挟みでつらいって言うんだよね」

 はあ、とミンソクはため息をつく。
 離れて暮らす老猫の健康状態を案じて、心配でたまらないらしい。

「そうか。それは妹さんもつらいだろうねえ」
 相手の話を「ちゃんと聞いていますよ」というサインを出すには、相手の台詞の最後を繰り返すとよい。

「うん。ほんと、俺もつらかったよ、妹からそれを聞いて……」

 ミンソクは顔をうつむかせている。
 彼は、体調が悪かったり落ち込んだりしていたとしても、周囲にそれを見せないように配慮する人間なので、こういう表情はめずらしい。

 ──そういう表情のこのひとを。
 かわいそうで、かわいくて。
 愛おしさで胸が引き絞られたように感じるのは、不謹慎、だろうか。

「あ。そうだ」
 ミンソクはそこで、ぱっと「電気がついた」みたいな顔をした。
 
「タンのほうは、動画もあるんだよ。ジュンミョン、見る?」
 一応、「見る?」と疑問形だが、「見たいに決まっているよね」というニュアンスが、かなりモロ、な口調である。
「あ? あ、……ああ」

 さくらんぼ色の唇がふうっと笑みのかたちになって、ミンソクはにこにこと笑いだした。
 ──そんな彼は、やはり、かわいい。
 憂いに満ちた表情よりも、100倍くらい。
 彼の心の輝きが、じかに手渡されるような、そんな笑顔。

「うん、俺にも見せて」
 タンくんの動画など、興味があるはずもないのだが、その笑顔を壊したくなくてスホも身を乗り出す。

 ふたりで、スマホの画面を一緒に見る。
 顔と顔を寄せあうようにして。
 
 ──始まった動画に映っていたのは、白い壁と、濃い紺色の絨毯の部屋だった。
 初めて見る場所だ。
 水色のベッドカバーがかけられたベッドがあって、それを背にして、絨毯のうえに膝を投げ出してすわるミンソク自身がいる。そして、その腕のなかにトラ猫がいる。

「これ、ミンソクの部屋?」
「ん? そうだよ」

 少年の部屋だ、と思った。
 どこがどう、とは言えないけれど、雰囲気が。「男の」部屋ではなくて。
 実家にいたころの高校生の少年の部屋を、そのままにしてあるのだろう。
 そして、彼の部屋の映像を見る、だけではなく。
 ミンソク自身が映っている、彼のこれほどプライベートな動画を見るのも、初めてであることに気づいた。

『ねえ、もっと俺の左に寄って?』
『──こう? こんな感じ?』
『うん。そのほうがさ、ばっちり入るでしょ?』

 映像のなかのミンソクが、撮影者に向かって話しかける。
 くつろいで、生き生きしていて楽しげで。
 プライベートの彼は、すごくいい表情をしている。
 彼はすわっているが、撮影している人間は立っているのが、画面の角度からわかる。
 彼に応答している撮影者は女の子の声だ。

「これ、撮ってるのって」
「妹」
「スンミちゃんか」
「そう」

『行くよ? ──それっ』

 悪戯をたくらむ子どものような顔で、画面のなかのミンソクはそう言うと。
 猫を抱いていた腕を急角度に傾けて、その猫を絨毯のうえに落とすようにした。
 
 ぴょん、と彼の腕から降りた猫は、目にもとまらぬ速さで、くるりと方向転換して絨毯に投げ出されたミンソクのズボンの上を走り、ミンソクの背中とベッドの間の、狭い空間にもぐりこむ。──と思うと、すぐにそこから走り出て、ふたたび、ミンソクの腕のなかに、ぴょん、とダイブする。

『おお、よしよし。速いな。いいこいいこ』
 自分の腕に戻ってきた猫を、ミンソクが撫でている。
 とても愛おしいものを見つめる、とろけそうな笑顔で。
『タン、もういっぺん、やるか? やるか? ──そうか、もう一ぺん、やるか』
 顔じゅうに明るい笑みを浮かべて、猫に話しかけて、ミンソクは勝手に会話を成立させている。

『それじゃ、もういっかーい……それっ! 行けっ、タン!』

 ミンソクが腕を急角度に傾け、猫はぴょんと床に飛び降りて──さっきとまるきり同じ動きをして、そうして再び、ミンソクの腕のなかへと戻ってくる。

 ぐるっとミンソクの体のまわりを、猫が、すごい勢いで一周した、だけのこと。
 たったそれだけのこと。

 撮影している、彼の妹の笑い声がそこにかぶさる。
 ミンソクが笑っている。猫を右腕に乗っけて。
 心の底から楽しくてたまらないみたいに、幸福そうに。
 こっちに向かって。

 ──ぱりん。
 心のなかで、はりつめていた何かが、割れたみたいな感覚があった。
 割れて、粉々に砕け散った感覚。
 それが壊れて初めて、スホは、自分が、そのときまで強くはりつめさせていたものの存在に気づいた。

「なあ、ミンソク」
「うん?」
「この映像、俺もほしい。俺のに転送して?」
 ほとんど何も考えることなしに。
 スホの唇がオートマティックに動いて、言葉が紡ぎ出された。

「いいよ。ね、かわいいでしょう、タン」
 自慢のタンくんのかわいさが、スホに認められたと思ったのか、ミンソクの顔に得意げな笑顔が浮かぶ。

「転送してあげる。……あ、でも」
 笑って肯定したあと、ミンソクが逆接をつないだ。

「もっといろいろ、動画、あるんだよ。ペペが一緒に映ってるのも」
 そう言って、彼は、また別の動画を探そうとしはじめるので。

 ジュンミョンは、スマートフォンを持つミンソクの手に、自分の手でふれた。
 一瞬だけ。ミンソクの動きを制するために。

「いや、それはいい、ミンソク。──俺がほしいのは、この映像」
 そんなふうに手でふれる必要は、まったくなかったのだけれど。

「ほんと? だってこれ、ペペ、映ってないじゃない?」
 わかっているのか、わかっていないのか。
 笑いのかたちになった、大きな瞳がつくるまなざしで、ミンソクはスホを見上げてきた。

「これがいい。……俺がほしいのは、ミンソクが映ってる、この動画だから」

 言葉が勝手に滑り出る。スホの唇から。
 今まで、言わないように。
 誰にも──ミンソクにも気取られないようにしていた、スホの気持ちを乗せた言葉を。

 スホのまなざしのなかで、ミンソクの大きな目が、一回、まばたきをした。

 今、この瞬間は。
 見上げたスホの顔だけを映して、茶色がかった明るい色の瞳が、きらきらと輝いている。
 周囲のひかりを、その瞳にすべて集めたように、明度の高い瞳。

 その目が、もう一度、まばたきをする。
 スホを見つめたまま。

 ──ああ、いつの間に。
 俺の気持ちは、こんなに深く、激しくなっていたのだろう。


 ──『まばたき』fin.

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【お知らせ】『Lessons in Bed』と新しいお話、そしてお返事

 こんばんは〜♪

 ふふふ、近ごろ、また「GIRLS」を聴き直したりしてるんですけど、家でひとりで聴いていると、ニヤニヤニヤニヤしちゃってたまらないです。
「ふふ♪ 3人は仲良しだなあ♪」みたいなニヤニヤなんですけど、もちろん、そんな自分が「気持ち悪い」存在であることはよくわかっていますので、家の外では聴かないようにしています(苦笑)。

       *

 さて。
 いくつか、ブログから下げていた小説を、また再掲載しています。
 「小説のもくじ」からジャンプできるようになっていますので、ご興味がおありの方は、よろしければ。

 チャンベクさんたちの「Lessons」は『Lessons in Bed』とタイトルを(わりとハッキリとさせてしまった…)変更して、Lesson1「疑問」から、Lesson5「風の指」までを再度掲載しています。(その時期に書いていた「バカップル」についての考察を書いた「夜ふかし日記」も再掲載しています)。

 この『Lessons in Bed』は「2人を最終段階まで持っていく」という意図のもとに書いていたのに、宙ぶらりんのままにしていては、チャニョルさんが、あまりにもかわいそうなのでは…
 そんなふうに思いまして、これだけは完結させたいと思っています。
 チャニョルくん、11月27日にお誕生日が来ますしね(ニヤリ)。
 その日が「結ばれる日」というのは、どうでしょうね…? という、親心(←なんか違う)です。

     *

 10月19日の午前0時1分に、新しいお話(短いです)を更新します。

 とある方のリクエストにお答えしたのですが、いただいたお題がたいへん面白かった!──のでした。
 「①イーシンさんのふともも ②○○なメンバーA ③○○なメンバーB」ということで、①は残念ながらおこたえできなかったのですが(その①にすごくウケてしまったのですがw)、②と③は同時にお応えすることが可能だったので、②と③をまとめて、一つのお話にしています。

 手許には書き上がっているのですが、ただし、またもや(というか)タイトルが決まっていないんです。
 がんばって決めまして、また明晩のシンデレラタイムにお会いできると嬉しいです。

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なっつさま

「私が覚えておこうと思ったあの言葉はここに繋がっていたんですね」…と書いてくださったこと、とても嬉しかったです。ああ、気づいていただけた!と。

 チャニョルがベクの手を握りながら告げた台詞が、ベクの中に入っていって、ベクの考えを変え、今度は、ベク自身の口からスホさんに向けて語られる、というのが、ずっとずっと書きたかったことだったからです。
 チャニョルが語った「そのままのかたち」すぎず、ある程度は変容を経たかたちで、けれども、読んでくださった方には、「ああ、あそこでチャニョルがベクに言った台詞だなあ」とわかってもらわなければならないので、「どの言葉をどう変えて、どう残すか」を何度も考えて書き直しました。

 私はかなり大人の年齢なんですが、「うまくいかないことがあっても、気持ちを腐らせない」「世界にたいして、心をひらいておく」ということの重要さ、大切さを、ようやくこの年齢になって気づけた気がします。
 私がスホさんの年齢だったときには、とてもそんな心境には至っておらず、ほんとうに「嫌なやつ」だったなあ、振り返ってみて反省しています。
 7年間という時間を練習生としてすごしたスホさんは、たぶん、なっつさんも書いてくださったように、「不安や葛藤や嫉妬を」抱えたり、そんな自分を反省したり、それでも努力したり、という日々を過ごしていたんじゃないかなあと思います。そんな長い時間を経験している彼が、「うちのリーダー」(ふふ、私はEXOのメンバーじゃないですけど♪)でほんとうによかった、と思います。
 あと、スホさんって、根っこのところが「ジェントルマン」なんですよね(つくづく、そう思います…)。
 ああ、やっぱ、うちのリーダー、いいひとだなあ♪ 大好き!

 チャニョルくんの「バアアアアアアン!」は、お約束ではないですが(苦笑)、ふふ、最初にビデオカメラだらけの一室に呼び集められたときのことを、読者の方に想起していただけたらな、という思いで書きました。
「あ、でも危ないからドアは静かに開けてね~。(笑)」とおっしゃっていただいたのですが、ふふ、その次に遅れて入ってきたセフナのほうは、「すみません、遅くなりました」と、「おそるおそる」申し訳なさそうに、ドアを開けて入ってきたのでした(笑)。(マンネのほうが「正解」!)
 「この2週間、毎日のように新しい物語やその制作裏話が読めてとても幸せでした」と書いてくださったのですが、私のほうこそ、なっつさまがすぐにコメントをくださること、とてもとても、嬉しかったです。
 しかもいつも、とてもウィットに富んだ的確なお言葉で、書いたものを熱心に読んでくださっているのが伝わってきて、ほんとうにありがたかったです。
 一人で書いているのはとても孤独な作業なので、なっつさまのコメント、心の支えにして書いておりました。
 2週間のあいだ、「夜ふかし」におつきあいくださいまして、ほんとうにありがとうございました。


みめさま

 ふふふ、みめさん、こんばんは〜♪
 素敵なコメント、どうもありがとうございます!

『世界で一番うつくしい明かり』、読んでいただけて、そして「とてもほっこりとした気持ち」になっていただけて、嬉しいです。
(ネタバレ満載の「あとがき」を先に読んでしまわれなくて、よかった! 注意書き書いておいて、よかったです・笑)

「お話の最後にミンソクさんが、『いいよ』とチャニョルを遮る所に、口数の多い方ではない彼らしい優しさを感じて、じわっと泣けてしまって」──と書いてくださったのですが、なるほど、そういうところがみめさまのお心に残ったのだなあと、新鮮な感覚を覚えました。
 あのあたりのチャニョルとミンソクさまのとやりとりは、ほとんど数分で書いたからです。(そのかわり、ラスト2行でものすごく呻吟しました)。あまり何も考えずに、想像したことをふらふらふらーっと書いたのですが、それが逆に「ミンソクさまらしさ」を出せていたのかな…などと思わせていただきました。
 「夜ふかしチョコレートさんの文章の柔らかなあたたかさに、どうにも私は弱いんだと思い知らされます」とのお言葉、どきどきしてしまいます。ありがとうございます。

 今回、タイトルづけにも、悩みに悩んだんですが、「彼にとってのアミュレット」というのが、第一候補でした。
 ただ、やはり「アミュレット」という単語が、一般になじみがないだろうなあ、というのがネックになって、取り下げたのですが、まだ、悩んでいます…
 でも「彼にとってのお守り」じゃ、やっぱり、タイトルとして「アレなかんじ」じゃないですか(苦笑)。
 語呂も悪いですし、「お守り」という単語になっちゃうと、どうしても「日本の神社でいただいてくる、赤とか紫の錦の袋に入った」的なイメージがわいてきちゃうので(苦笑)。悩みに悩んだのですが…というか、まだ、実は悩んでいるのですが。

 『はじまりのEXO』へのご感想も、ほんとうにありがとうございました。
 「夜ふチョコさんがあとがきで仰っていた『もしかしたら、』という感覚、しっかりと受け取りました」──と書いていただいたのですが、もうほんとうに、何より、です。
 「『セフナの青春日記』や『Heaven』の番外編を読んだ時も感じた、『フィクションなのかな? 本当にあっても不思議じゃないな?(あってほしいな〜)』とまで思ってしまう感覚が大好きです」と書いてくださったのですが、たぶん、作者である私自身が「もしかして、こうだったら、いいな〜」と強く思いながら(そして、めちゃくちゃニヤニヤしながら・笑)書いているところが、みめさまにも伝わっているのかな……と。
 ぜひ、みめさまも、読みながら「ニヤニヤ」していただけたら、とても嬉しいです♪
「つくづく、どちらが現実なのか、『もしかしたら、』が止まらない、魅力的な彼らには適わないです」。うーん、みめさまが書いてくださった、そのお言葉のほうこそ、とても魅力的で、夜ふチョコ、モニターのこちら側でうなっております。

 EXO-L1年生の私にも、励ましのお言葉、ありがとうございます! 
 みめさまがいらっしゃるというその日程は、私もチケットを手に入れておりますので、たぶんペンライトの明かりのどれかが、私が振っている一本だと思われます。
 ふふふ。We are one!

きみにとってのアミュレット

 『世界で一番うつくしい明かり』あとがき

 皆さまこんばんは♪

 ああ、「アーモンドPEAK」(というチョコがあるのですよ)がおいしい!
 夜ふかしチョコレートです。

(注・今回の「あとがき」はネタバレ満載です。もしよろしければ、本編から先に読んでくださいませ)

 この『世界で一番うつくしい明かり』は、着想自体は、「待っている」の直後に思いついていたのですが、長いあいだ、どうもうまく形にすることができませんでした。
 当初は、チャニョル視点で書こうと思っていました。
 その状態で、ああだこうだとひねくりまわしていたのですが、なんとなく今ひとつ、うまくいかず…
 「コレはお蔵入りのエピソードになっちゃうのかなあ」と思っていたのですが。

 ところが、先日、ナナカマドの美しい秋の道を歩きながら、「うーむ、どーやって福岡のチケットを手に入れよう…EXO-L一年生、ここが勝負のしどころか…」ともんもんと悩んでいた私のもとに、ひとつの天啓が舞い降りてきました。

 そーだ。
 あのお話は、むしろミンソギヒョンの視点で語らせるべきなのだ!

 喜び勇んで帰途につき、PCに向かってぴしぱしと打ち込みました。
 今度はすーっと書くことができました。
 だからおそらく、このお話は、「ミンソクさまの視点で書かれること」を、ずっと待っていてくれたのでしょうね。
 
 書いている間、すごく楽しかったです。
 ミンソクさまとチャニョルくん、という組み合わせを書くのが新鮮でしたし、「ミンソクさまらしい語り」を書いていくのも、とても楽しくて。

 お気づきの方も多いと思いますが、私が書いているチャンベクさんたちのお話では、「合鍵」をモチーフとしたお話をくりかえし書いています。(『新しい朝と、短いキス』『あいたい夜と、はじまりの鍵』『わたされた鍵』、とかです)
 「合鍵」。
 ああ……なんて素敵な(そしてBL的な)響き!
  
 合鍵を渡すこと。相手からも、合鍵を渡されること。
 それは「信じること」の証でもあるし、あるいは「秘密をさしだす」という意味もあると思います。
 それから、もちろん、「鍵を鍵穴にさし入れて、ドアをあける」というのは、非常にBL的な意味合いのつよい(ほほほ)メタファーでもあります。
 そのドアは、「相手そのもの」につながっているのかもしれないし、「もっと深い場所」に通じているのかもしれない。
 2人で向かう「新しい世界」にひらかれるドアなのかもしれない。
 そういう「合鍵」が含有するイメージすべてが、チャンベクさんたちにお似合いのものだと、私は感じているんじゃないかな……と思っています。

 5月末頃から6月の頭にかけて、CBXの『GIRLS』にどハマりしていた頃(あの頃はジョンデ病のピークでしたねえ……我ながら今思い出すと、やばかったです・苦笑)、「いやージョンデもベクも、日本語、すごーくうまくなっているなあ、がんばったんだなあ…」と感動していました。

 いや、彼らはほんとうにがんばったと思うのですよ。

 そのときの、ベッキョンくんの努力の裏側に、「合鍵」があったらいいなあ──というのが、このちいさなお話の出発点でした。

     *

 このお話のタイトル、最後の最後まで、悩みました。
 だいたい、適当なファイル名をつけて、お話を書いていくのですが、今回のファイル名には「amulet」という題名をつけていました。
 英語の単語で、「お守り」という意味ですが、たぶん、あまり日本人の方には馴染みのない単語なのではないでしょうか。

 この単語に私自身が出会ったのは、鷺沢萠さんの短編のタイトルとして、でした。
 カタカナで「アミュレット」という題名だったのですが、当時、高校生の私には「???」な単語。そして、本文にも、その「意味がわかるようなエピソードが、いまひとつ、ない。
 適当に「コレかな〜」というスペルをひねくり回して、英和辞典で調べあてたとき、「ああ、『お守り』なのか……」と感じいった思い出があります。

 鷺沢さんは、とても美しい文章を書く作家でした。
 非常に若くして作家になり、また、非常に若く亡くなってしまったひとです。
 私が高校生の頃に大好きだったのですが、大人になってからまた読み返すと、いろいろと味わい深い作品が多いです。
 もし、今、生きていらしたら。
 どんな作品を書いていらっしゃったのでしょうか。

 最終的に選んだ『世界で一番うつくしい明かり』、長すぎる……というのが悩みなのですが、ラストの文章に書きつけたこの言葉を選びました。

(私、最近、しみじみとチャニョルは純粋な男の子だなーと思うのです。彼の音楽の「好きさかげん」というのが、非常に愛おしい今日このごろ)
 
 あまりBLっぽくない作品だったし(若干、ラブからは遠いかもしれないなあ…もっといちゃこらしてるチャンベクさんを書きたい…)、皆さまに楽しんでいただけるかどうか、どきどきしているのですが。
 お楽しみいただけていれば、すごく嬉しいです。

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【チャンベク短編】『世界で一番うつくしい明かり』

チャンベク短編・『待っている』の続編です。


 飛行機がトーキョーに到着するのは夕刻の予定だった。

 雲を抜けた航空機が地上に近づいていくにつれ、人の力が作り出した明かりが、美しい宝石をこぼしたようにきらめく。
 眼下に広がるその光景を見るのが、ミンソクは大好きだ。
 ゆえに、空港到着が夜のフライトでは、なるべく着陸時には起きているようにしている。

 高層ビルや工場の、それから、暗い色の海の上にゆっくり移動する船の明かり。
 巨大な橋に等間隔でひかる赤いひかり、道路を流れるように動く、たくさんの車のランプ。
 単純に、きれいな夜景を目にするのは楽しい。
 そして、このたくさんの明かりの向こうに、これを灯す人々の生活と命があることを想像するのが、ミンソクはとても好きなのだ。
 自分の唇が自然に微笑のかたちになるのを感じる。

「ねえ、ミンソギヒョン、あの湾の向こう側にある、金色のあかりの群れ、何だか知ってます?」
 窓を覗き込んでいたら、ふいに隣の席から声をかけられた。
 寝ているとばかり思っていたチャニョルだった。

「ん? 湾のむこう?」
「ええ。──その、ほら、橋の向こうらへんの」
 気のいい後輩は、飛行機の小さな窓に切り取られた夜景のなかを、指さしして方角を示してくれた。 

「なんだろう? ほんとだ、金色の明かりが固まってる……」
「あれ、ディズニーランドだそうですよ」
「あ、そっか。なるほど」

 相槌を返したら、自分の顔がもっと笑顔になるのを感じた。
 アメリカ資本のテーマパークの、その名前を聞いただけで、楽しい気持ちが胸にひろがる。
 
「ふふ、チャニョル、よく知ってるねえ。さすが日本通」
「『通』なんかじゃないですよ。スタッフさんに教えてもらったんで、このあいだ」

 飛行機が旋回して、急速に高度を下げていく。
 気圧の変化を強く感じて、ミンソクは思わず耳をおさえた。
 いわゆる、鼓膜の「空気抜き」が、苦手なのだ。
 飛行機に乗るのは好きだけど、コレが、毎回なあ……と思ったところへ、チャニョルがぽつりと問いを投げてよこした。

「──ヒョン、俺とあいつのこと、知ってるんでしょう?」

 ひそめた声だったけれど、彼の低い声ははっきりと聞こえた。
 「あいつ」、という言葉を使っただけで、チャニョルは、彼の名前を口にしなかった。

 ああ、とミンソクには、すぐに思い当たることがあった。
 数日前の午後、スホがベッキョンに問いただしたのだ。
 「チャニョルとおまえ、ケンカでもしてるのか」と。
 「べつに、してませんよ」と答えたベッキョンが、かわいそうなほどうろたえていて、見るに見かねたミンソクは、思わず、助け舟を出してしまったのだが。

「うん。……ごめんね。知ってる」
 知らないふりを通すべきだろうか、とも思ったが、さらに話がややこしくなりそうなので、正直にミンソクは答えた。

 助け舟を出したあと、「大丈夫だから」というメッセージのつもりでベッキョンに笑いかけた。
 しかし、後輩の彼は、ミンソクの意図とは逆に、驚愕に目を見ひらいたあと、さらに狼狽の表情を深めてしまったのだ。
 ──あ、まずいな。失敗しちゃった。
 ベッキョンに助け舟を出すにしても、ミンソク自身も知らんぷりを決め込むべきだったのだ。
 彼らの恋になど、(ジュンミョンと同じように、まったく)気づかないふりで。
 なぜってベッキョンは、その恋を誰にも知られたくないと思っているのだから。

「俺は、あいつじゃなくて、俺のほうがなにか、ヒョンにバレちゃうようなことを、やらかしちゃったのかな、って思ってるんですけど」
 チャニョルは言葉を続けた。
 彼はまだ、ベッキョンの名前を口にしない。

「……あいつのほうは、ミンソギヒョンの前で、なにか自分が口をすべらせたか、まずいこと、やらかしたんじゃないかって、結構、気に病んじゃってるんで」
 なるほど、ベッキョンらしい話ではある。
 彼は、自分に落ち度があったのではないか、とわりとひとりで反省を深めてしまう。

 チャニョルは、このフライトの間じゅう、ずっとこのことを、自分に尋ねたかったのだろうな、とミンソクは思った。
 数日前のできごとを、何らかのかたちで、彼はベッキョンから聞きだしたのだろう。
 そうして、ミンソクがどこまで知っているのか、何をつかんでいるのかを聞き出そうとして、おそらくチャニョルは、自分と2人で話ができる機会をうかがっていたはずだ。

「うーん、どっちが、なにかやったとか、口をすべらせたってわけじゃないよ」
 ミンソクは、思案げに答えをきりだした。

「そうですか」
「うん。……俺、なんていうの、そういうふうなこと、わりと気づいちゃうタイプなの」
 たぶん、自分は。
 かなり早い段階から、ふたりの恋に気づいていた。
 一番最初にこの後輩が顔をあわせた瞬間に、ミンソクはたまたま居合わせたのだが(デビュー前の、今から何年も前のことだ)、「あら?」とそのとき、目をみはったものだ。
 チャニョルがまとっている空気と、ベッキョンがまとっている空気が、ひらりとひるがえって。
 強い磁力でひきあうように、ふたり自身よりもさきに、あざやかに抱擁しあうのが、見えた──気がしたから。

「ジュンミョンみたいな朴念仁は、ぜーんぜん気づかないし、ほかのメンバーもたぶん、知らないと思う」
「ええ」
「俺も、誰にも何も言うつもりはないから」

 たぶん、最初に恋を自覚したのは、チャニョルが先だ。
 でも、ベッキョンだって、同じほど、彼につよく惹かれていた。──彼自身が、意識にのぼらせていなかっただけで。
 そんな彼らが、何をきっかけにして、いつごろからつきあいはじめたのは、わからない(そんなことに、自分が関与すべき問題でもない、とミンソクは思う)。

 ただ、ある朝、ふたりが同じ種類の「満ちたりた」表情を浮かべていたことがあった。
 チャニョルに答えてみせたように、彼らが「なにかやった、とか口をすべらせた」わけでも、なんでもない。
 ただ、直感しただけだ。
 ここに来る前に、ふたりは、同じ夜をすごしてから来たんだな、と。

 ──そっか。チャニョル、よかったじゃないか。
 気づいたミンソクは、そのとき、しのび笑いをおさえるのに、苦労した。
 チャニョル、よかったね。
 きみのほうが、長い、とても長い、片想いをしていたから。

「あのねえ、3月に、CBXのレコーディングで、俺たち、10日間ほど東京にいたでしょう」
 ミンソクがそう語り出したとき、隣にすわるチャニョルは、いったい、何の話がはじまるのか、という怪訝な表情になった。
「3人で初めての、全編、日本語でのレコーディングだし、場所も日本だったし。大きなチャンスでもあったけど、とにかく缶詰状態で、俺もベクもジョンデも、結構、参ってたと思うんだよね」

 ジョンデは、わりとニュートラルなポジションでレコーディングに臨もうとするタイプだが、ベッキョンは違う。
 音源を作るとき、彼はむしろ、自分をぎりぎりの場所に追い込む。
 追い込んで、追いつめて。
 そこから飛び出そうとするときの瞬発的な力を、意識的に作り出そうとする歌い手なのだ。

「このアルバム、成功させなきゃって、このチャンスを絶対モノにしなきゃって、ベクは、そういう意識が強いひとだから。こう、ベクの気持ちが、びーんと張りつめてて、俺もジョンデも、スタッフさんも、声もかけられない、みたいな感じで」

 チャニョルは、何も言わなかったけれど、じっと耳を傾けている気配が濃厚に伝わってきた。
 あの時期、チャニョルの知らないところで、ベッキョンがどんな気持ちでいたのかを、今、彼は想像している。

「そのレコーディングのさなか、ね。……休み時間になると、ベクは、ポケットから何かを取り出して、それを手のひらにのっけて。……それを、じーっと見てるんだよ」
 ミンソクが言葉を続けても、チャニョルは黙ったままだった。

「初めは、ベクが何をそんなに見つめてるのか、わからなかった。なんか、すごく小さなものだったし、誰かが近づくと、ぱっとそれをポケットにしまっちゃうし。──でも、あるとき、ベクが何をそんなに、じっと見てるのか、わかったんだよね」

「何……だったんですか、それ?」
 こくりと、チャニョルの喉仏が動いて、彼が固唾をのんだのがわかった。
「鍵だよ」
「……鍵?」
 ひどく怪訝そうだ。

「そう。一本の鍵。……キーホルダーも何もつけてない、裸の鍵」
 ミンソクがそう告げた瞬間、即座に、チャニョルの顔に「あ!」という表情が浮かぶ。
 そして。

「あれさ。チャニョルがベクに渡した鍵でしょ? ……きみの自宅の、合鍵なんじゃないのかなあ」
 ──そして、ミンソクがそう言ったとき。
 チャニョルの顔が、みるみるうちに紅潮した。
 文字どおり、耳まで真っ赤になって──頰だけでは足りないくらい、変わったかたちの、耳の先まで真っ赤になって。

 レコーディングの間じゅう、わざわざポケットに入れて。
 休憩のたびにそれを取り出し、手のひらに乗せて、ベッキョンがじっと見つめていた銀色の鍵。

 その鍵はたぶん、彼にとって。
 暗闇のなかで、正しく進むべき方向を示す、明かりのような存在だったに違いない。
 あるいはくじけそうになる心を、あたためてくれる熱。
 光に満ちた幸福な記憶で、彼を守ってくれるもの。
 ああ、彼は、とてもいい恋をしているんだな、とミンソクはそのとき、思ったのだ。

「ベクは、すごく大切にしてるよ」
 ──この恋を。きみとのことを。

 地上に近づいていく飛行機の窓から、眼下にひろがるきれいな夜景を見るのが、ミンソクは大好きだ。
 それは、宝石のようにきらめく、たくさんの色合いのあかりのひとつひとつに、これを灯している人々の生活と命があるんだな、と想像できるから。

「ヒョン、俺ね──あの、あのね……」
 ふだんは口の達者なチャニョルが、彼らしくなく、言葉をつまらせた。

「いいよ、チャニョル。そんな、無理して話さなくて」
 かっちりとした二重の、まっすぐな瞳を持つ後輩を見つめて、ミンソクは微笑んだ。
  
 頰どころか、耳のさきまで真っ赤になったチャニョルの胸の中に、誰かのことを、愛おしい、と思う気持ちがある。
 それはたぶん、世界で一番うつくしい明かりとなって、今、チャニョルの頰と耳を、彼の命の色に染め上げているのだと思う。

 ──『世界で一番うつくしい明かり』fin.



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『世界で一番うつくしい明かり』あとがき
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願掛けモード・感謝のシンデレラ・再掲載につきまして・結構デンジェラス

皆さまこんばんは。
EXO-L1年生、夜ふかしチョコレートです。

寒くなってきました…

①本日(あ、書いてるうちに日付が変わって昨日になってしまった)、「EXO planet#4」コンサートツアーの「オフィシャルサイト」先行予約の申し込み最終日。

 同行者Qと手分けをして、たぶん、「打つべき手は打った」と思うのですよね…
 いちいちyahoo IDを取得して、ちまちまパスワードを設定し、メールアドレスだの住所だのをせっせと入力して、という地味な「戦い」なんですが、「the War」を鬼リピしながら、EXO-Lの意地で遂行しました。

 あああ、どうしよう、これで落ちたら…

 あのですね、私、今、「願掛けモード」を発動してます。
「玄関のたたきに塩をまいて掃き清めたあと、毎日、水拭きする」「お手洗いを毎日ピッカピカにお掃除する」ことを、自分に課して、「開運招福」を狙っているの。
 もうあとは、「神頼み」しかないんですもん!!
 お願いします! トイレにいらっしゃる、それはそれは綺麗な女神様〜!

② 「はじまりのEXO」への拍手、ありがとうございました!

 今回は、シンデレラタイム(午前0時1分)に更新していったのですが、更新して間もなく拍手を押していただけると、私の夜ふかしにつきあってくださる方がいらっしゃるのだなあと、感激しておりました。
 長い話になってしまったうえに、しかもラブがなかなか出てこず、そしてベクが無駄に格好よすぎ。
 おつきあいくださった方、応援して下さった方、ほんとうにありがとうございました。
 お楽しみいただければ幸いです♪

 私は、「夜の仕事」(ふふ)をしておりまして、コアタイムが夕方4時半から9時半なんです。
 それを終えてから、入浴や雑事をすませて、PCに向かうことができるのが、だいたい午後11時前後なので、シンデレラタイムが更新しやすいということに気づきました。
 ……というわけで、今後も、この時間の更新が続くかな? と思っています。
 名前も「夜ふかしチョコレート」ですし。
 よろしくお願いします。

③【チャンベク短編】「待っている」を再掲載しています。

 6月ごろ掲載した「待っている」という、チャンベクさんの短編を再掲載しております。
 ベクとチャニョルの、テキストメッセージのやりとりから始まる短いお話です。

 なぜ、再度、掲載したかというと。
 その続編を書いたからです。
 手許で書き上がっています。16枚のとても短いお話です。

 なのに、まだ、タイトルが決まらない!!のですよ。
 明日10月17日(火)午前0時1分のシンデレラタイムまでには、タイトルを決めまして、掲載する予定です。
 乞うご期待。(よろしくお願いします!)

④ しかし、深夜にPCに向かってなにか書くのは、けっこうデンジェラスですな。
 絶対、お菓子食べちゃう。チョコとかおかきとか、バウムクーヘン(←はまり中)とか。
 ジムに行ってるのに、意味なくない?

⑤ 次に書きたいお話。

 a. 甘ったるいレイチェン(全年齢向け)

 b. 甘ったるいレイチェン(キス程度まで)

 c. 甘ったるいレイチェン(R18)

 d. ふつうにかわいい感じのスホヒョンとミンソクさまのお話

 e. わりと辛口なセフナとミンソクさまのお話

 f. くどいほど甘いカイド(もちろんR18)

 ……どれにしましょう?

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彼を待ちながら

 こんにちは! 夜ふかしチョコレートです♪

 さて、ひさびさに(なってしまいましたが)、【R18】ではないチャンベクさんたちの短編『待っている』を、本日あげてみました。
 拍手もたくさんいただいていて、(ありがとうございます!)嬉しい限りです♪
 ランキングの応援も、どうもありがとうございます。

 えーと、なんで今回の作品が、「待っている」がテーマになっているのかというと。

 先日、私はひとつの真理に到達しました(笑)。
 例の3人組のCDを3枚も買いまして、イベントに応募し、ホテルを予約したり、飛行機の予約を入れたり。
 東京にはアレを持って行こうとか、ドレスコードがカラフルらしいから、あのトップスとあのスカート、アクセサリーはコレとコレでいこう、とか。
 
 そんな計画をたてて、結果を「待っている」間が、すごくわくわくして、楽しかったのでした。

 実際に会うことだけでなく、「もうすぐ会える(かもしれない)」と思いながら「待っている」時間とゆーのも、実は、恋をしているふたりには、とても大切なのではないかと……!!!

 そんなことを太陽と月と天使に教えてもらった、夜ふかしチョコレートなのでした。

     *

 あとはとにかく、ミンソクさまが書きたくて書きたくて……
 もう悶えるほど書きたかったです! ミンソクさまのこと。
 かわいい! かわいいから天使さま!
 
 それと、スホミョンも書きたかった♪
 ものすごくいいひとで、超がつくほど真面目なんだけど、どっかピントがずれている(うふふふ)。
 そんなリーダー、だいすき! 書いててとても楽しかったのでした♪

 この年長ふたりのやりとりも、もう、ものすごーーーーく書きたかったです。
 スホさんが、ミンソギヒョンには頭があがらない感じとか、ミンソクさまのほうがひとつ年上なのに、彼のことを「ヒョン」呼びしないあたり、とか。もう考えてるだけで楽しいです。ふふ。

 えーと。ここからちょっと、チャンベクさん以外のカプ話なので。
 大丈夫です、という方だけ、スクロールしてくださいね。














 スクロールありがとうございます!
 では、書きますよ! ふふ。


 いつかこの年長組2人、つまり、スホ×ミンソクさまを書きたいんですが、でも全く需要がなさそうですね……

(と、いうわけで、かなり今回は控えめに書いています。
 恋愛感情があるのかないのか微妙な感じで。
 えーとですね、たぶんこの段階では、スホさんの勝手な片想いだと思いますね。
 まあ、ミンソクさんとスホさんがすでにデキていたとしたら、ベクに、「おまえ、チャニョルとケンカしてるのか」みたいなことを、スホさんも言わないはずですし。)

 この年長2人組だと、私のなかでは、当然のようにスホさんが攻なんですが、スホの攻っていうあたりからしてあんまり見たことがないし、ミンソクさんとカプになってるのも見たことがないかも?

 ミンソクさまを受にして書きたい、と思ったとき、もう、攻がスホしか残ってなかった(苦笑)んだけど、でも、考えてみたら結構お似合いのような気がして、私はわりと萌えています。
 3月ごろ、セフナの青春日記を書いていたときには、すでにこの2人のカプを考えていました。ふふ。
 もし、スホ×シウミン、読んでみたい!というひとがいらしたら、こっそり教えてください♪ 書きます!

      *

 ベクは、とても強いところもあるのに、とても弱く見えてしまうときもある。
 そのアンバランスな感じが私にとっては魅力的で、そういうところをお話として表現できていればいいなあと思っています。
 あと、私はベクがパジャマを着て寝るところに、萌えてます♪
 どうかたくさんの方に楽しんでいただけますように。

 ああ、彼のこと、見れば見るほど、歌声を聴けば聴くほど、(そしてFFを書けば書くほど・苦笑)、どんどん本気で好きになっちゃう。

 戻れない♪ やばい♪

 ふふふ。ジョンデといつも一緒に「戻れない♪ やばい♪」と歌ってしまう、夜ふかしチョコレートでした。


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【チャンベク短編】「待っている」(後)

(再掲載です)


 あくまでも優しい、さとすような口調で綴られたミンソクの言葉に、スホはじっと耳を傾けている。
 後輩である自分たちには見せない、リーダーの特別な表情。
 そうベッキョンは、ぼんやりと考えたのだが。

 そのとき、ミンソクの大きな瞳が、すうっと動いて、ベッキョンのことを見つめかえしてきた。
 そんなふうにされて初めて、ベッキョンは、いま、自分がこの先輩たちふたりのことを、まるで探るようなまなざしで注視してしまっていたことに気づいたのだが。

 そして、次の瞬間、ミンソクは。
 言葉を何も発さずに。ミンソクをじっと見ている、ベッキョンだけにわかるように。
 ふっと唇の両端をつりあげて、共犯者めいた、かすかな笑みを見せたのだ。

 ──もしかして、という思いが、ベッキョンのなかで確信に変わった。

 このひとは、俺とチャニョルの関係性が変わって、そして。
 こういう関係になったことを、気づいている。……

 やばい。
 どこで、何で、どんなしっぽを踏ませて、バレた?
 具体的には、何も思いつくことができない。
 俺か? チャニョルか? 
 体の中の血液が、一気にすべて逆流したみたいになった。
 
 考えてみれば、このヒョンは、すごく人間関係の機微に敏い。
 彼ひとりの腹におさめて何も言わないけれど、いろんなことに、いちはやく気づく。
 長時間接していれば、チャニョルや自分の態度やふるまいのはしばしから、このひとはきっと、たくさんのものを読みとってしまう。

「あーあ。……チャニョルじゃないけど、ほんと、眠いよね。なんか、下の自販機で、飲み物でも買ってきてあげようか。
俺、ひっさびさに炭酸とか飲んじゃおうかな。──ジュンミョン、何がいい?」
「コーヒー。あまくないやつ」
「甘くないの、あったかなあ、あの自販機に。……ベクは?」
 あくまでも笑顔のミンソクに、視線を投げかけられたので。

「ミネラルウォーターで……っていうか、俺が買ってきますよ」
 必死に「気のいい後輩」の顔を取り戻しながら、ベッキョンはそう答えたのだが。

「ううん、いいって、ベク。俺が言い出したんだから、俺が買ってくるよ。自分で選びたいっていうのもあるし」
 そう告げたミンソクは、そこで、大きな瞳がつくるまなざしをぴたりとベッキョンにあわせて、にこっと笑った。
「ごめんね、ベク。いろいろ、気を使わせて」

 年長の彼の、その謝辞が。
 たくさんのものを含んでいることを、ベッキョンのほうも、さすがに気づかざるを得なかった。

    *

 チャニョルに言われたとおり、さきにシャワーを使わせてもらって、タオルでがしがしと頭を拭いていると、自分のスマホに新しいテキストメッセージがいくつも届いていることに気づいた。

『しくった。渋滞してる。こんな夜遅いのに』
『なんか、前の方で事故があったんだって』
『タクシーの人が確かめてくれた、無線で』 
『もう20分くらい足止めされてる』
『早く帰りたいのに』

 あのわかりやすい表情を持つ彼が、わかりやすい感じでいらいらを募らせているのが、伝わってくるようなメッセージがずらりと並んでいて、ベッキョンは微笑を誘われた。

『風呂、使わせてもらったよ。ありがとう』

 そう返信を始めると。

『そうか。待たせてごめんな』
 タクシーのなかに閉じ込められて、何もできないでいるからか、チャニョルからの返信はすぐにやってきた。

『道路の渋滞は、どうなってるの』
 そう尋ねる言葉を送ると。

『今は動いてる』
『あと少しで帰れそうだけど』
『事故現場のすぐそばを通って』
『わりと怖かった』

 矢継ぎ早に言葉が返ってくる。
 彼ははっきりとは書いていないけれど、もしかしたら、かなり悲惨な光景を目にしてしまったのだろうか。

『だいじょうぶか?』
 そう送信すると。

『大丈夫。でも』
『早く帰りたい』
『はやくベクにあいたい』

 ものすごくストレートな言葉。
 そう、チャニョルは直球しか投げてこない。いつも。

(ベクもチャニョルも、もう大人なんだから。彼らのことは、彼ら自身に任せておけばいいんだよ)

 昼間の、ミンソクとスホのやりとりが思い返された。
 ──どう考えても、ミンソクは、自分たちふたりのことを、気づいている風情だった。
 そうでなければ、あの台詞が出てこない、と思う。

 気づいたうえで、「ふたりのことは、ふたりに任せておく」ということ、なのだろうか。
 あの台詞は、ジュンミョニヒョンだけでなく、自分にも聞かせるつもりで語られたものではあるはずだから。

『ベク、今、どんな格好してるの』

 現在のベッキョンの心情とは、かなりかけ離れた感じのメッセージが届いた。
 ──ヒマだな、こいつ。

『パジャマ』

『何色の? 紺とオレンジのチェックのやつ?』 

 アホか、チャニョルめ。

『そんなこと、聞いてどうするの?』

 とどめをさしてやるつもりで、その言葉を送信したベッキョンだったが。

『想像する』

 チャニョルから届いたメッセージで、逆にとどめをさされた。

 ──ああ、もう。
 ちっくしょう。
 チャニョルめ。チャニョルのやつめ。……

 あと何分かのちには必ず、チャニョルはこの部屋に帰ってくるはずだけれど。
 あいたい。ものすごく、チャニョルにあいたい。

 目眩がするほどのつよさで、そう思った。

『白いパジャマを着てる』

 気を取り直して、チャニョルに返信する。

『白地に黄緑色の、細かいチェックが入ってるやつ?』
『方眼紙みたいな』

 ……チャニョル、ほんとうに、想像してやがんの。
 俺のことを。

『正解』
 
 あいたい。はやくあいたい。
 チャニョルの背の高い体、ほがらかに笑う声、変わったかたちの耳、まんまるな瞳。

『いまドラッグストアの前』
『だからあとすこしで着く』

 新しいメッセージが届いた。
 あのドラッグストアのところまで来ているなら、もうこの部屋に彼が帰ってくるまで、ほんの5分もかからないだろう。
 タクシーを降りて、息せききって走ってくる、若いポプラのような姿を思い浮かべる。

 ──あいたい。はやくあいたい。

 昼間の一件で、灰色になりかけていた胸の中に、しずかな光が灯された。
 うつくしくて揺らがない、金色のあかり。

 チャニョルに会うことを待つ時間には、この静かなあかりが、ぽわんとベッキョンの胸にともる。

 記憶の中で、ずっと消えずに灯り続けるはずの、そんなうつくしいひかりだと思う。

 ──『待っている』fin.


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【チャンベク短編】「待っている」(前)

【チャンベク短編】「待っている」(前)
 チャニョル×ベッキョン。(再掲載です)



『今、どこ?』

 チャニョルから、スマホにテキストメッセージが入ったのは、彼のマンションのエレベーターのなかにいるときだった。

 『おまえの家の』とベッキョンはすばやく返信した。
 『エレベーターの中にいる』と打ち返したときには、ちょうど、チャニョルの部屋がある階にエレベーターが到着したことを告げて、チン、とかすかなベルの音がした。

『今、こっちは、タクシーに乗ったところで』
 エレベーターの箱から降りて、チャニョルの自宅のドアの前まで歩いていくとき、もう一度、恋人の彼から送信があった。
『たぶんあと30分ぐらいで』
 スマホの画面に、急いで打たれたらしい文字が浮かぶ。
『家につくと思う』

 いま午後10時半だから、チャニョルがこの部屋に帰宅するのは、つまり11時くらいになるはずだ。

『了解』
 歩きながらベッキョンがそう返したとき、ちょうどチャニョルの家のドアの前に到着した。
 泊まるために用意した小さなバッグを探って、渡されている合鍵を取り出す。

 ドアをあけると、チャニョルの家のなかには無人の闇がひろがっている。
 今夜、一緒に朝まですごすために、先に家に入って、待っていてほしい、と言われていた。
 玄関に入って、ぱちんと照明のスイッチをつけると、部屋の内部が明かりのなかに浮かび上がる。
 もう何度となく目にしてきた、チャニョルの家のなか、だ。

 鍵を閉めて、一人でこの部屋を出てきたことならあるが、鍵をあけて、ベッキョンだけでここに入るのは初めてだった。
 チャニョルがいない、というだけで、なんとなくこの部屋全体が、自分によそよそしい顔を見せているような気がする。
 他人のテリトリーに間違って侵入してしまったような。
 そんな不安なかんじ。

 そのとき、再度、ベッキョンのスマホがテキストメッセージの着信を告げた。
 画面を見ると、チャニョルから送られてきた文字が並んでいる。
 
『ベク、悪いんだけど』
 
 一応は、そんな前置きの言葉が添えられていたが。

『さきに風呂に入って待っててほしい』

 目にした瞬間、マジですか、とひとりごちてしまったほどだ。

 うわ。なんか、チャニョル。
 すっげ、やる気満々……じゃね?

 帰宅してからの、1分1秒も、もったいない、はやくふたりで、ベッドに飛び込みたい、ということなのだろうか。

『シャンプーとか、全部、適当に使っていいから』
『タオルは寝室のクローゼットに』
『3段のプラケースがあって、その一番上』
『給湯のスイッチは』

 ひどく焦っているみたいに、つぎつぎとスマホの画面に、チャニョルからのメッセージが並び出す。

『タオルは持ってきた。給湯スイッチの位置はわかる』
 そう返信すると。

 ウサギのキャラクターが、『Thanks!!!』とウィンクしている図柄のスタンプが、ぼん、と送られてきた。

 そのウサギを目にしたベッキョンは、ほんのすこしだけ、唇の端に微笑を浮かべたが、そのあと、ふっと我に返るようにして。
 ふたたび、なんとなく灰色の気分が胸に広がった。

 なかなかふたりきりになれない恋人との夜がこれからはじまるのに。
 そして、そのことを、ほんの昨日まで、自分だって楽しみに待っていたはずなのに。
 今、この部屋にはいったとたん、いろんなことが不安になって胸に押し寄せてきてしまうのは。

 理由はわかっている。
 ……昼間のあの一件が、原因だと思う。

     *
 
 その日の午後、ベッキョンは、事務所の一室で、打ち合わせの資料を読んでいた。
 読むべき量はたいしたことはないのだが、人の名前や地名など、「間違えてはいけない固有名詞」を、短時間で正確に頭に叩き込まなければならないのは、やはり、結構な面倒さをともなう。
 特に、睡魔に襲われそうな、安穏な昼下がりの時刻には。

 長机とパイプ椅子が数個並ぶ狭い部屋に一緒にいたのは、自分のほかには、スホとミンソクとチャニョルの3人だった。
 4人で黙々と、パソコンで出力された文字に目を走らせていく。
 ビルのなかのその部屋には窓がなく、ゆえに、昼間でも白い蛍光灯の光がこうこうと灯されているのだが、その白い光に照らされた紙の上の四角四面な文字を目で追っていると、思考は「ねむい」という言葉で満たされそうになる。
 それはチャニョルも同じだったのか。

 がたん、とパイプ椅子の音をたてて、彼が唐突に立ち上がった。
「すみません、ヒョン。……俺、どうにも眠くてたまらないんで」
 一時的な睡魔というよりも、慢性的な疲労に裏打ちされているような、精彩さを欠いた声でチャニョルはそう告げたので。
 思わず、紙面から目を上げてチャニョルを見やった。
「ちょっとだけ、顔、あらってきます」

 チャニョルがそう断ったのは、年長組ふたりに対してであって、ベッキョンのほうには、短い一瞥さえくれなかった。
「お? ……おう、わかった」
 
 スホがそう応えると、チャニョルは、彼らしからぬ幽鬼のような顔つきと足取りで、ふらふらと部屋を出て行った。
 長机のうえに、彼がそれまで読んでいた企画書の紙束が、まるで残された抜け殻のように、ぱさりと置かれている。

 ……大丈夫か、あいつ?
 ただ眠いだけなら、いいけど。
 
 そう思ったが、ミンソクとスホの前で、彼に親密な態度を見せてしまうことがはばかられて、ベッキョンは、チャニョルに何も言葉をかけなかったし、資料のうえに視線を戻して、彼の方を見ることもしなかった。
 だが、それが逆に、不審な態度として、スホの目に映ったのか。

「なあ、ベク」
 こっそり、という風情で(だがしかし、まったく、こっそりなどではなく)スホから声をかけられた。
「なんですか」
「おまえとチャニョル、この間からケンカしてんの?」

 ──は?
 なんで、そういう考えに到達する?

「してませんよ、べつに」
「そうか? ……だっておまえらふたり、いつも、まるでお互いが、そこに存在していないようにふるまうじゃないか」
 そう指摘されて、すこしぎょっとなって、スホの顔を見た。

 リーダーの彼の目には、揶揄などひとかけらもなかった。
 この強くて大きな善意の持ち主は、百パーセントの混じりけのない、心配をしている。それがわかっているからこそ、たじろいだ。

 責任感のつよいスホが、常々、グループのなかの人間関係に心を砕いてくれていることは、ベッキョンだって知っている。この年かさの彼がもっとも嫌っているのが、メンバー内の感情的な食い違いでパフォーマンスのクオリティが下がってしまうことであるから。

 だから──特別な関係になったことを隠そうとして、人前で、他人行儀にふるまおうとしていた自分たちの行動は。
 リーダーの彼の目には、まるで「ケンカしているんじゃないか」と心配させてしまうものに映っていた、というのだろうか。

「いや、べつに。……そんなこと、ほんと、ないです、けど」
 ぎこちなくなってしまわないように気をつけて答えたつもりだったけれど、ベッキョンの声は、何かの隠し事をしているみたいに、へんなふうに揺れた。

 チャニョルが、感情を隠すことができないタイプであるのは、これまでに何度も思い知らされてきた。
 わりとすぐに顔を真っ赤にして(彼は文字通り、耳まですぐに赤くなる)怒ったり、泣いたり、笑ったり。
 豊かな表情を、チャニョルはあまりにもたやすく無防備に見せる。
 こういう特殊な仕事をしているのにも関わらず、大人になるにつれてどこかに置き忘れてくるはずの、感受性の強さだとか、まっすぐな純粋さを、いまだ損なうことなく残しているのが、チャニョルのチャニョルらしさ、でもあるのだけれど。

 あのチャニョルに、「特別な親密さを感じさせることなく、『普通の』親しさを装う」ことを要求するのは、やや高度すぎる芸当、であるのか。
 ──まあ、ベッキョンにしても、うまいふるまい方がわからないのは、同じなのだけれど。

「だって。……おまえたち、口もきかないし、それどころか、目すら、あわさない。──ていうか、お互いをすごく意識してるのに、シカトしあってる、っていうかさ」

 それはある意味、非常に正しく「図星」なのだけれど。
 正しすぎて、困る、というか。

「ジュンミョン」
 助け舟を出してくれたのは、意外にも、いつもは寡黙なミンソクだった。
 この最年長の優しい先輩は、ふだんは彼自身の口をはさまずに、後輩たちの話をおだやかな笑顔で聞いているだけ、のことが多いのだが。

「考えすぎだよ、ジュンミョン」
 やわらかな笑顔と優しい声が続いた。
「……そう、かな? 俺の考えすぎ?」
 ひとつ年上のミンソクを見やったスホのまなざしが、あれ?と思うくらいに、素直なひかりを浮かべている。
「うん。別にケンカもしてないのに、ケンカしてるだろうって言われたら、ベクだって、どう答えたらいいかわからなくなっちゃうよ。……ねえ?」

 最後の、同意を求めるミンソクの一声は、ベッキョンに向けて、笑顔とともに差し出されたので。

「ええと……まあ、そうですねっていうか……」

 なんとも歯切れが悪いよなあ、と自分でも思ってしまうような、否定とも肯定ともつかない答えを、ベッキョンは返した。

 そのとき、ミンソクのきらきらした大きな瞳と視線がかちあって、一瞬、どきりとした。

 ──もしかして。
 
「ジュンミョンの悪いクセ。……グループのことを心配してくれるのは嬉しいけど、ちょっと気を回しすぎ。ベクもチャニョルも、もう大人なんだから。彼らのことは、彼ら自身に任せておけばいいんだよ」

 ──もしかして、ミンソギヒョンは。
 俺とチャニョルのことを。



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